なぜアイスクリームで頭が痛くなるの?

Why do I get ice-cream headaches? ≫ Scienceline
By Andrea Anderson | Posted May 20, 2007

夏です。外は暑い。あなたも熱い。冷たいものをたくさん食べて体を冷やすのが良さそうです。でも、そうやってフローズンヨーグルトをほおばっていると断然不愉快なことが起こります。恐ろしき「アイスクリーム頭痛」。スラッシーをぴちゃぴちゃ食べて、ジェラートやイタリアンアイスをがつ食いしていると、あの強烈でいたずらな頭痛が襲ってくるのは、どうしてだろう?


この症状の原因と広まりには驚くほど多数の科学的研究が注目してきました(中には、科学調査という名目で、学校の子供たちにアイスクリームを大量に食べさせたというのもあります。)。人口に膾炙した説では、アイスクリーム頭痛の痛覚は、冷たい食べ物が口腔の天井にある神経が集中した部分に触れることによっておこるとしています。この領域にある神経のうちで、三叉神経は最大の脳神経ですが、その三本の枝が協力して、感覚を感じたり、脳と、それと異なる顔の前面の、歯、舌、口蓋といった領域との間で情報を伝えたりしているわけですね。


冷たいものにさらされた口の上部にあるにもかかわらずアイスクリームの早食いの痛みははっきりと頭部に響きます。この痛みを三叉神経に絡めて説明するはいくつかあります。そのうちの1つはアイスクリーム頭痛の痛みは関連痛の一例であるというものであり、すなわち、接するその場所で冷たさを感じるのではなく、痛みは神経の通り道に沿ったどこかほかのところに現れる、というものです。疼痛は大抵は額に現れますが、こめかみなど頭部の他の場所に現れることもあります。


よく言われるもう一つの考え方は、三叉神経が口蓋で冷たい痛みを感じとり、脳に血流を送って温めようとした結果、広がった血管が頭部で反応する、というものです。このように脳を温めようと頑張りすぎ、血流を少し変えてしまって、結果脈打つ頭痛が惹き起こされるのだと考えられています。


ミドルスクールの生徒のアイスクリーム頭痛に関して英国医学誌British Medical Journalに載せられた2002年の研究では、急速にアイスクリームを食べた場合、頭痛の発生率が上がるとしています。アイスクリームをゆっくりと舐めるように食べれば冷感に誘発された痛みの波を止められるかもしれませんが、いつもとは限りませんよ。


さいわい、アイスクリーム頭痛はそう長くは続きません。たいていは10秒から30秒ですが、その痛みは呼吸を乱すほどです。いくつかの研究によると片頭痛の気がある人のほうがアイスクリーム頭痛の影響も受けやすいそうです。面白いことに、片頭痛と群発性頭痛は、頭部のほかの領域を痛くするという、三叉神経の同じような活性化によって惹き起こされるようなのです。これはつまり、片頭痛も群発性頭痛も経験したことのない人でも、アイスクリーム頭痛はそれらとほとんど同じということです。


少なくとも一人の内科医が、医学生に対して医学部のカリキュラムとしてアイスクリーム頭痛を義務的に経験させるように提案しそうになったことがあります。ニュージャージー薬歯学大学の研究内科医エリック・レウィン・アルツシュラーは学術雑誌Medical Hypothesisの2006年の記事でこう述べました。「すべての内科医と研修中の内科医はあの強烈なアイスクリーム頭痛の痛みを経験することは利益になるし、そうさせられるべきだ。そうすることで彼らは、群発性頭痛の患者の痛みには効果的な予防法と治療法がどれほど必要なのかを理解し共感し認識するのだ。」


とりあえず、教授を疑わない医学生にDairy Queenのブリザードの一撃を浴びせる必要性についてはいまだ陪審員は取り合っていませんが、しかしあなたの夏がアイスクリームでもアイスコーヒーでも、いずれにせよ今出せるアドバイスとしては、ゆっくり食べたほうがいいということですね。